CEOの綱渡りな旅 - デジタル投資に取り残されていると不安を感じた時に

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AlixPartners
Contributor
AlixPartners is a results-driven global consulting firm that specializes in helping businesses successfully address their most complex and critical challenges.
1974年、世界貿易センタービルのツインタワー間を綱渡りしたことで有名になったハイワイヤー・アーティスト、フィリップ・プティは、かつ
Japan Technology
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1974年、世界貿易センタービルのツインタワー間を綱渡りしたことで有名になったハイワイヤー・アーティスト、フィリップ・プティは、かつて自らの技術についてこう語った。

「バランスを崩したら、跳べ。前に進まなければならない」

この言葉は、ディスラプションが起こる現代におけるCEOの仕事をよく言い表している。

CEOは四方八方から力がかかる状況でも、バランスを保たなければならない。それと同時に、前進する勢いを維持し、組織を率いるための大きな指針を常に見据えていなければならない。立ち止まってはならないのだ。

アリックスパートナーズが毎年発表している「ディスラプション・インデックス2024」において、約60%のCEOが「自身の職を失うことを心配している」と回答しているのも不思議ではない。同調査では、半数以上のCEOが、「2024年に組織のビジネスモデルを大きく変える必要がある」と答えているが、同時に彼らの多くは何から始めればいいのかわからないとも報告している。課題の大きさがお分かりいただけるだろう。

CEOたちは玉座に座ったつもりでいたのかもしれない。しかし、彼らはいま苦境に立ち向かっている事実に気づき、いつ身を引くことになるのかを恐れている。

本連載「CEOの綱渡りな旅」では、技術革新、多様なステークホルダーからのプレッシャー、マクロの経営環境など、CEOが直面する課題について短い記事を書き連ねていく。ぜひご覧いただきたい。

第1回:「デジタル投資に取り残されていると不安を感じた時に」

CEOは他の人と同様に「FOMO(見逃したり取り残されたりすることへの不安)」に悩まされている。しかし、これをデジタルへの投資に当てはめることはあってはならない。

最近では、クリプトやブロックチェーンに関する戦略、あるいはメタバースにおける自社の将来性に注目しているCEOと話すことはほとんどない。今日の議論の中心は、ジェネレーティブAIだ。AIと機械学習の潜在的な意味を考えれば当然である。

しかし、やみくもにお金をつぎ込んでも解決策にはならない。ダボス会議では、世界有数の専門家たちでさえ、AIの具体的なユースケースに関する議論が不足していたのが印象的だった。AIをどのように活用するのがベストなのか、依然として不透明な部分が多い。アリックスパートナーズが2023年秋に実施したC-suiteを対象とした調査では、回答者の75%が「AIは自分たちの業界にとって非常に重要になる」と回答した。一方、「自社がうまく導入できている」と考えているのはわずか21%に過ぎなかった。

ジェネレーティブAIのイノベーションと企業の導入および活用はまだ比較的初期段階にあるが、急速に進化している。わずか1年で、標準テストの成績はDかCからAになり、開発者が予想もしなかった方法で論理と推論を適用している。このテクノロジーは、今後5年間で世界経済と産業全体を再構築すると私は信じている。手をこまねいているわけにはいかない。

とはいえ、これらの投資から可能な限り高いROIを確保しなければならない。そのための唯一の方法は、テクノロジーではなく、解決しようとしているビジネス上の課題に焦点を当てることだ。ここで生産性や雇用削減だけに焦点を絞ると、AIが実現可能なビジョンは限定されてしまう。収益創出のテーマこそ途方もない機会や可能性が存在し、探求すべき最もエキサイティングな分野だと私は確信している。

そして、同テーマでの取り組みを加速させるためには、AIがどのように収益創出を実現できるか、様々な人が共有し合うようにならなければいけない。例えば、アリックスパートナーズでは、カスタマーサクセス、マーケティング、セールス、プライシングの強化を通じて、クライアントの収益を短期間で数億ドル増加させることに貢献した。これは氷山のほんの一角に過ぎない

私たちはエキサイティングな旅の始まりにいる。私は多くのCEOと同様に、AIがビジネスや社会全体に与える影響について楽観視している。しかし、投資を無駄にしないためにも、私たちは価値の創出するドライバーに焦点を当て続けると共に、活用事例の積極的な共有に努める必要がある。

第2回:「声の大きい批判者にアジェンダを決めさせない」

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